2013年7月25日木曜日

一人映画 風立ちぬ

今年の2月頃だろうか。

何を思い立ったのか急に一人で映画を見に行く決心をした。



それまで一人で映画を見に行くことは、私にとって非常に高いハードルと思い込んでいたのだが、エヴァンゲリオン新劇場版が何故かどうしても見たくなり、当時まもなく公開されるガンダムユニコーンの第6話も見てやろうと。

そしていざ一人で映画を見に行って見ればなんのことはない。一人で来ているおっさんの多いこと多いこと。

いままで一緒に行く人がいないからと言って見られなかった映画がたくさんあったが、一人映画は何もおかしくないことが判明したので、これからは一人でどんどん映画を見に行こう、そう決心した2013年の2月だった。

これまで一人で観た映画は

・新世紀エヴァンゲリオン 新劇場版:Q
・機動戦士ガンダムUC ep6
・アイアンマン3
・G.I.ジョー2
・攻殻機動隊 ARISE
・ワイルドスピード ユーロミッション


あれ・・・?なんかもっとたくさん見た気がするけど、改めて箇条書きにしてみるとたいしたことないな・・・。まぁでも、これからは一人映画を趣味としてどんどん見ていこうと思う。

そう、そして、本編が始まる前の予告編にもどんどん乗せられて影響されていこうとも思う。

そのなかで、予告編の時から気になっていたのが、今回のタイトルにもなっている『風立ちぬ』だ。



そういえばジブリ映画を見に行ったのは、高校生の時にもののけ姫を友人たちと自転車に乗っていった覚えがある。短い高校生生活の中の数少ない思い出だ。

ジブリファンは概ねガンダムとかエヴァンゲリオンを叩く風潮がある。まぁ、 『叩く』行為をする輩というのは総じてその作品を見ていないことが多いのだけれど。
 しかし、私の知る限り、ガンダムファンでジブリ作品を叩く人間はいない、自分を含め。理由は単純、面白いから。

ただ、ジブリ作品のすごいと思うところは、非常に高いレベルでの『万人受け』をなし得るところだと、個人的には思っている。

子供向け、ファミリー向けの作品は多いけれども、決して子供やファミリーに対して迎合しないところだ。

おっさんは仮面ライダーがすごく好きだが、今に限らず、1号ライダーから仮面ライダーウィザードまで、結局は子供向けなので、そのストーリーのほとんどは子供騙しと言わざるを得ない内容で、おもちゃを売りたい大人の意思が透けて見えているのが萎えるところではあるが、となりのトトロは30過ぎた今であっても面白いと思うし、崖の上のポニョ(みてないけど)も面白いのだろう。

とはいえ、この『風立ちぬ』に関して言えば、子供がみて面白いと思うかどうかは、おっさんには判断できない。内容は少々難解だったような気はする。


事前に得ていた情報で、堀越次郎というかの名機『零戦』設計者の半生の物語とのことだ。
折しもつい先日、見たかったけど恥ずかしくて行けなかった『連合艦隊司令 山本五十六』をレンタルでやっと見終えたところだった。実をいうと、この風立ちぬは当初見るつもりはなかったのだけれど、零戦設計者の半生と聞いて興味を持ち、見事鑑賞リストに加わったのだった。

しかし、世界的に著名な宮崎駿が、大日本帝国の象徴とも言える零戦の設計者をテーマにするのは大丈夫なのかと少し心配になったぐらいだ。政権が民主党から自民党に変わって、そこまで国政に詳しくはないものの右傾化はしてる雰囲気ぐらいは感じているし、C国やK国との歴史認識が云々いわれているなかで、8月15日以前の7月下旬に公開。例年このぐらいの夏休みの時期になると、首相が靖国参拝するのかどうかという内容が新聞紙面を賑わすのはもはや風物詩ともいえるが、ここで、このタイミングでこの内容の映画を作って堂々と公開しちゃうところは、宮崎駿の『覚悟』とでもいうのか、ジョジョ的に言えば『漆黒の意思』とでもいうのだろうか、とにかくその部分には強く感銘を受けた。実際に亡国のネット掲示板には宮崎駿の風立ちぬを見てショックを受けたなどのスレが立っているらしい。



作中では関東大震災のシーンがある。鑑賞する前に、試写会のレビューなどでも拝見したが、そのシーンは容赦ないほどの地震の描写がされていた。地面が大きく隆起し、化物のうめき声のような低い地鳴りが一層不安と恐怖を煽る、正しく圧巻の描写だった。


桑田佳祐がTSUNAMIというタイトルだから歌わないように気をつけるのは悪いこととは思わないが、3.11以降地震に対して過剰にナーバスになっている日本人にはいい薬だろう。

が、まぁ実際見てみれば別に戦争を迎合する内容でもなく、『紅の豚』のようにバンバンドッグファイトをするような内容でもなかった。(そこは少し残念だったけど) 
ストーリはー一貫して堀越二郎の半生であり、過去の戦争に対してどうのこうのという宮崎駿の個人的なメッセージは特になかったと思う。

ラピュタのようなワクワクするような冒険のシーンや、魔女の宅急便のようなハイテンションなクライマックスでもないので、見る人が見ればつまらなく映るような作品だと思う。崖の上のポニョよりも興行収入が多いというのは、マーケティングの力によるものだろう。

とはいえ、派手なCGやVFXなどの表面的なエンターテイメントを好まない(俺は大好きだけどもw)人であれば、決して鑑賞代が無駄に感じることはないと思う。